猫が下半身不随になったら|介護の方法・費用・仕事との両立を5年の体験から解説

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猫がか半身不随になって5年。働きながら介護している現実
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ある朝、何の前触れもなく、15歳の愛猫「ちいちゃん」が後ろ足を引きずりながら動き回っていました。何が起きたのかわからないまま、私は会社に電話して嘘をつき、病院へ向かいました。

「このままだと、1週間もたないかもしれない」

あの言葉から5年が経ちます。今日もちいちゃんは前足だけで私の布団に向かってきます。

この記事は、医療の専門家が書いたものではありません。下半身不随の猫と5年間暮らしてきた飼い主が、「あのとき知っておきたかったこと」を体験ベースで書いています。医療的な判断はすべてかかりつけの獣医師に確認してください。それでも、同じ状況に直面している方に、「自分だけじゃない」と感じてもらえれば幸いです。

この記事でわかること

猫が突然下半身不随になったときに最優先でやること
実際の介護方法(排尿・排便・床ずれ対策)
費用のリアル(初期50万円/月額の目安)
フルタイムで働きながら続ける現実的な方法

目次

猫が突然下半身不随になったら|まず確認すべき緊急サイン

※このセクションは、私が病院で聞いた話や、当時調べた情報をもとにまとめています。実際の判断は必ず獣医師に確認してください。

後ろ足が突然動かなくなったら、迷わず病院へ。これだけは、経験から断言できます。

ちいちゃんが倒れたあの朝、私は「様子を見るべきか」「病院に連れて行くべきか」を一瞬迷いました。

でも、後ろ足を引きずる姿を見て、「これは普通じゃない」とすぐに動きました。あの判断が正しかったと、今でも思っています。

獣医師から聞いた「特に急ぐべきサイン」

病院で後から教えてもらったのですが、猫の突然の下半身麻痺には、血液の塊(血栓)が足への血流を詰まらせる「大動脈血栓塞栓症」という緊急性の高い原因があるそうです。

獣医師に「こういう場合は特に急いでほしい」と言われたのが以下のサインです:

チェック項目急いでほしいサイン
後ろ足の温度冷たい・冷え切っている
肉球・歯茎の色青白い・紫がかっている
痛みの反応足を触ってもまったく反応がない

ちいちゃんの場合はこれとは別の原因でしたが、「足が冷たい場合は特に時間との勝負になることがある」と聞いて、ぞっとしました。

迷ったら動く。それだけでいい。

受診するかどうか悩む時間が、一番もったいないと今は思います。

  • 突然後ろ足が動かなくなった
  • 足が冷たい・肉球の色がおかしい
  • ぐったりしている、または痛みで鳴き続けている
  • お腹が張っている・排尿が出ていない様子

ひとつでも当てはまるなら、深夜でも救急病院に電話してみてください。「行かなくてよかった」より「行っておいてよかった」の方が、絶対にいい。

ちいちゃんは最初の病院では原因が特定できず、その日のうちに設備の整った別の病院を紹介されました。ほぼペーパードライバーの私が必死に車を走らせた40分間。あの判断を迷わなかったことが、5年後につながっていると思っています。

猫の下半身不随の原因と予後について

※このセクションは、私がちいちゃんの治療中に獣医師から聞いた話を中心にまとめています。原因や回復の見通しは猫によって大きく異なります。必ず担当の獣医師に確認してください。

「治るのか」という問いに、正直な答えはひとつではありません。でも「回復しない=生きられない」ではない、ということは5年間で実感しました。

ちいちゃんの原因

ちいちゃんの場合は「背骨のズレによる神経圧迫と出血」でした。体重7kgで、長年タンスからベッドへジャンプを繰り返してきた積み重ねが、15歳でとうとう限界を迎えたのかもしれないと獣医師に言われました。

原因は猫によってさまざまで、獣医師から聞いた主なものを挙げると、血栓・脊髄の損傷やヘルニア・腫瘍・外傷などがあるようです。原因によって治療方針も回復の見通しも変わるので、「どれに当てはまるか」よりも「この子の場合はどうなのか」を担当の先生に聞くのが一番です。

「深部痛覚」という言葉を初めて聞いた日

検査のとき、獣医師が後ろ足の指を強く圧迫して「反応があるかどうか」を確認していました。これが「深部痛覚」という検査だと後から知りました。 ※足の指の骨を強く押したときに「痛い」と感じて鳴く・振り向くなどの反応があるかどうかを見るものだそうです。

「これがあると回復の可能性が高くなる」と聞きました。ちいちゃんにはその反応がありました。それが手術を決めた理由のひとつでもあります。

「1週間もたない」と言われた猫が、5年生きている

予後については、あまり数字を信じすぎなくていいと思っています。「余命」や「回復率」は統計的な話であって、目の前の猫に当てはまるとは限らない。

「1週間もたないかもしれない」と言われたちいちゃんが、5年後も前足だけで動き回っています。毎日の介護と医療の積み重ねが、数字を超えることがある。それだけは、実感を持って言えます。


猫の下半身不随の介護で最も重要だと感じたこと

※ここからは私の体験ベースで書いています。猫の状態によって異なるため、必ず獣医師に確認してください。

5年間介護してきて、一番大切だと感じたのは「排泄を絶やさないこと」でした。これは体験から言えることです。

排泄が止まると、数日で様子が変わる

下半身麻痺になると、自力でのおしっこが難しくなることが多いようです。獣医師から「膀胱に尿が溜まり続けると腎臓や膀胱に負担がかかる」と説明を受けました。実際、ちいちゃんも排尿がうまくできていない日は、明らかにぐったりしていました。

退院直後、食べない・飲まない・動けないという状態のちいちゃんを見て「このまま死んでしまうのでは」と何度も思いました。でも、排泄だけは絶やさなかった。それがあの時期を乗り越えた理由だと、今は思っています。

私がやっていた清潔ケアの2つのポイント

体験的に大切だと感じたのはこの2点です:

おしっこのあとは必ず拭く 尿で皮膚が濡れたままだと荒れやすいと獣医師に言われました。私は毎回、やわらかいガーゼで拭いてから、後述のドレッシングボトルで洗浄するようにしていました。

同じ姿勢を長く続けない 寝たきりになると、同じ部位に圧がかかって皮膚が傷んでしまう(床ずれ)ことがあると聞きました。私の場合は気がついたときに体の向きを変えるようにしていましたが、これも猫の状態によって対応が変わると思うので、獣医師に相談してみてください。


猫の下半身不随の排尿ケア|私がやっていた方法と最初の失敗

※ここからは私の体験ベースで書いています。排尿介助の方法は猫の状態や獣医師の指示によって異なります。必ず担当の獣医師に教わってから実践してください。

排尿介助は、「知識としてわかること」と「実際に一人でできること」がまったく別物でした。最初は毎日失敗していました。

カテーテルと圧迫排尿、私がやっていたのは両方

退院直後のちいちゃんには、カテーテル(尿道にチューブを通して排尿させる方法)での介助も行っていました。獣医師にやり方を教わって、その場で練習もしました。

でも家に帰ると、全然うまくいかない。

カテーテルがうまく入らず、何度もやり直すうちに自分の腕が痙攣したこともあります。焦れば焦るほど失敗する。猫も嫌がる。「なんでできないんだろう」と泣きながらやった夜が何度もありました。

獣医師から「慣れるまでは圧迫排尿(膀胱を外から手で押して尿を出す方法)で対応しましょう」と言われてからは、だいぶ楽になりました。

圧迫排尿でやっていたこと

具体的なやり方は必ず獣医師に教わってほしいのですが、私がイメージとして教わったのが「水風船を優しくじわじわ押す感じ」でした。強く押しすぎると危ないと言われたので、とにかくゆっくり、ゆっくり。

うまくできていないと感じたときは、すぐ病院に電話して聞きました。「こんなことで電話していいのかな」と最初は思っていましたが、先生から「何度でも聞いてください」と言われてから、気が楽になりました。


猫の下半身不随の排便ケア|情報がなくて、自分で試した話

※ここは特に「私の体験」です。医療的に正しいかどうかは保証できません。必ず獣医師に相談してから試してください。

排便介助については、ネットで調べてもほとんど情報が見つかりませんでした。本当に困った。

私がたどり着いた方法

排便ができなくて困り果てていたある日、ふと思い出したんです。ちいちゃんが赤ちゃんの頃、お尻を刺激すると排泄をしていたことを。

試しに温かい蒸しタオルで、お尻周辺をやさしくポンポンと刺激してみたら——排便ができました。

これが医学的に正しい方法かは、今でもわかりません。でも、その時の私にはそれしかなかった。今も「困ったらまずこれ」で対応しています。ただ、これが合わない子もいると思うので、必ず最初に獣医師に相談してからにしてください。

失敗から気づいたこと

2日以上排便がなかった日、便が硬くなっていて介助してもなかなか出なくて本当に大変でした。それからは「昨日出たからいいか」ではなく、毎日確認するようになりました。

私の場合、朝の排尿介助と合わせてやると出やすい気がしていました。腸が朝に動きやすいのかもしれません(これは私の感覚なので参考程度に)。

おむつと洗浄で清潔を保つ工夫

おむつのハの字加工: 猫用おむつ、もしくは赤ちゃん用のSS〜Sサイズに尻尾穴を開け、後ろ足を通す穴をハの字に切り込むとズレにくくなりました。排泄のたびにすぐ交換するのが、皮膚を守るために大切だと感じています。

ドレッシングボトル洗浄: 100円ショップのドレッシングボトル(先が細いノズルのもの)にぬるま湯を入れて、排泄後に陰部に流しかけています。ウェットティッシュだけより汚れが落ちやすく、ちいちゃんの皮膚トラブルが減りました。


床ずれ・体のケア|私がやっていた予防策

※ここからは私の体験ベースです。猫の状態によって異なるため、必ず獣医師に確認してください。

床ずれ(褥瘡)は、気づいたときには進んでいることがあります。私の場合は「作らない」ことを意識することで、5年間大きなトラブルなく来られました。

※褥瘡(じょくそう)とは、同じ部位への圧力が続いて皮膚が傷んでしまう状態のことです。

私がやっていたこと

寝床を柔らかくする: 100円ショップや介護用品店で手に入る低反発マットやクッションを活用しました。骨が直接床に当たらないようにするだけで、だいぶ違うと感じました。

気がついたときに体位を変える: 「何時間ごとに必ずやる」という厳密なルールは、仕事しながらだと正直難しかった。私は「気がついたら左右を入れ替える」を習慣にして、帰宅後と就寝前は必ずやる、くらいのペースでやっていました。

皮膚の確認を習慣にする: 毎日の排泄介助のついでに、肩・お尻・膝など骨が出ている部分の皮膚を触って確認していました。「いつもより赤い気がする」と思ったら、次の診察で獣医師に見せるようにしていました。


リハビリと回復の可能性|聞いた話と、ちいちゃんの場合

※このセクションは、私が獣医師から聞いた話と、実際にちいちゃんでやってみたことを分けて書いています。体験していないことは「聞いた話」として書いています。

ちいちゃんは「1週間もたない」と言われた状態から、前足だけで動き回るところまで回復しました。リハビリが直接の理由かはわかりませんが、「できることを続ける」大切さは感じました。

獣医師から教わってやっていたこと

退院後、獣医師から「後ろ足を動かさないままにしておくと関節が固まっていくことがある」と聞きました。それから、後ろ足をゆっくり曲げ伸ばしする運動(後から「PROM」という名前だと知りました)を毎日やるようにしました。 ※PROМとは「他動的関節可動域訓練」のことで、飼い主が関節を動かすことで柔軟性を維持するリハビリ方法だそうです。

やり方は獣医師に実際に見せてもらいながら覚えました。「ゆっくりやること」「嫌がったらやめること」の2点を特に言われました。

私がやっていなかったこと

水中を歩くリハビリ(ハイドロセラピー)という選択肢があると獣医師から聞いたことがあります。専門の施設が必要で、私はやりませんでしたが、興味がある方は担当の先生に相談してみてください。

ちいちゃんが動き出した日

ある日、前足で体を引きずって私のそばに来ようとした。退院直後は何も食べず、動かず、「このまま死んでしまうのでは」と本気で思っていたあの子が。

「この子は生きようとしてる」

そう思ったら、涙が止まりませんでした。


猫用車椅子の選び方|私が獣医師から聞いたこと

※このセクションは、私が病院で相談した際に聞いた話をもとにまとめています。実際の選択は必ず獣医師に相談してください。

ちいちゃんは前足で動くことを選んだので車椅子は使いませんでしたが、選択肢として知っておいてよかったと思っています。

獣医師から教わったのは、大まかに2種類あるということです。

後ろ足だけを支えるタイプ(2輪): 前足に力があって自分で動こうとする猫に向いているそうです。後ろ足をフレームで乗せて、前足で自走する形。

全部を支えるタイプ(4輪): 前足にも問題がある場合に使うことがあるとのこと。より大がかりになりますが、食事や水飲みが自分でできるようになる子もいると聞きました。

「いきなり長時間使おうとすると嫌がることが多い」とも言われました。慣れるまでに時間がかかるものだということは頭に入れておいた方がいいと思います。


猫の下半身不随の介護と仕事の両立|限界だった日々と続けられた理由

※ここからは完全に私の体験です。同じようにできるかは人それぞれだと思いますが、「こういう人もいた」として読んでもらえれば。

フルタイムで働きながら5年間続けてこられたのは、「完璧にやろうとしなかった」からだと今は思っています。

私の場合の1日のルーティン

時間帯やっていたこと
起床後(出勤前)排尿介助、排便確認、投薬、食事(食べないときは強制給餌)
日中母に見てもらう(排泄介助は私だけができたので、朝晩に集約)
帰宅後排尿介助、清拭、体位変換、食事、通院(退院後3ヶ月は週数回)
就寝前最終排尿確認、体位変換

退院後3ヶ月は、仕事終わりに往復1時間半の通院が続きました。「どうやって続けていたのか覚えていない」が正直なところです。

「猫の介護で」と言えなかった

仕事を早退するとき、私はいつも「親が病気で」と伝えていました。「猫の下半身不随の介護で」とはなかなか言えなかった。理解してもらえるかわからない怖さと、少しの後ろめたさ。

今もあの選択が正しかったかどうかはわかりません。ただ、そうするしかなかった。それだけです。

私が続けられた理由

手を抜く場所を決めた: 今日は排尿介助が1回だった、排便介助が翌朝になってしまった、という日もありました。それでいいと思うようにしました。完璧にできない日があっても、また次の日やればいい。

獣医師に何でも電話した: 「こんなことで聞いていいのかな」と思うことも、全部電話して聞きました。

同じ状況の人の話を読んだ: SNSで同じように猫の介護をしている人の話を読むだけで、「自分だけじゃない」と感じられて楽になりました。


猫の下半身不随介護にかかった費用の実例

結論:私の場合、最初の手術・入院で約50万円かかりました。準備がなかった分、当時は本当に大変でした。

私のケースの費用

項目私の場合の金額
手術費約30万円
入院費(約2週間)約20万円
合計約50万円

「猫の手術にそこまで」と感じる方もいるかもしれません。私もそう思わなかったわけではない。でも、目の前で「1週間もたないかもしれない」と言われたとき、お金のことより先に「手術してください」という言葉が出ていました。家族みんなでお金を出し合って、その場で決めました。

月々にかかっていた費用(安定してからの目安)

項目私の場合の月額
通院・診察料5,000〜30,000円(時期によって変動)
薬代5,000〜15,000円
おむつ・衛生用品10,000〜30,000円
介護グッズ類初期費用のみ(数千円〜)

これはあくまで私の場合です。猫の状態や病院によって大きく変わります。参考程度にとどめてください。

ペット保険のこと

ちいちゃんには保険をかけていませんでした。「まさかこんなことになるとは」という後悔が今もあります。

保険は若くて健康なうちでないと入れないことが多いので、もし今まだ入っていないなら、一度調べてみることをお勧めします。


猫の下半身不随の介護でよくある質問

※これらはすべて「私の場合」の経験をもとにした回答です。

Q. 介護にどのくらいで慣れますか?

私の感覚では、圧迫排尿が「なんとかできる」と感じるまで2〜4週間くらいかかりました。最初の1週間はほぼ毎日病院に電話していました。慣れるまでの時間は人それぞれだと思いますが、「うまくできない」からといって諦めなくていいです。

Q. 夜間の排尿はどうしていましたか?

私は就寝前にやってから寝て、朝起きたらすぐやる、という流れにしていました。おむつをして寝て、朝一番で確認・交換するのが現実的でした。ちいちゃんの状態が悪かった時期は夜中に起きることもありましたが、安定してからはそれで対応できていました。

Q. 旅行や外出はできますか?

日帰りなら帰宅後にすぐ排尿介助をすれば問題ないことが多かったです。1泊以上は、母に手順を書いたメモを渡して対応してもらいました。信頼できる人に頼むか、動物病院のショートステイを利用する選択肢もあると思います。

Q. フルタイムで働きながら本当に続けられますか?

続けられました。ただし、「完璧には」無理でした。昼間の排尿が1回できなかった日も、排便介助が翌朝になってしまった日もあります。それでも、毎日続けてきた結果が5年間です。一人で全部抱え込まないこと、それだけが唯一のコツだと思っています。


まとめ|完璧じゃなかった介護が、5年間続いた

今までの40年間、数々の猫の老いを経験してきました。 15歳の猫は下半身付随で現在介護真っ最中です。

「1週間もたないかもしれない」と言われたちいちゃんは、今日も前足だけで私の布団に向かってきます。

猫の下半身不随の介護は、完璧ではありませんでした。嘘をついて早退して、手が震えながらカテーテルを入れて、排便の方法をネットで探しても見つからなくて、自分で試行錯誤した。それでも続けてきたことが、介護だったんだと今は思います。

この記事に書いたことは、私の体験であって、すべての猫に当てはまるわけではありません。でも、「こういう人もいた」「こういうやり方で続けてきた人もいた」ということが、誰かの参考になれば、それだけで十分です。

今、後ろ足が動かなくなっているなら、迷わず今すぐ病院へ。 今日一度、愛猫が排尿できているか確認してみてください。


この記事は、筆者(医療従事者ではありません)の個人的な体験をもとに書いています。猫の状態や治療方針は個体によって大きく異なります。介護の方法・治療・薬については、必ずかかりつけの獣医師にご確認ください。


猫がか半身不随になって5年。働きながら介護している現実

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